ラテックス法による抗体価の特徴
1.ラテックス法(LIA法)の最大のメリット
ラテックス法(LIA法、キット名;LZテスト)の最大のメリットは測定時間が短いことです。採決後、1時間以内に測定結果を知ることができます。検診では抗体価でピロリ菌陽性と判定された方に、その日に内視鏡検査を実施することが可能になります。
2.ラテックス法とELISA法の検査法としての比較
ELISA法(キット名;Eプレート)とラテックス法(LZテスト)の比較は以下の表の通りです。ラテックス法のメリットは大きく、今後、ラテックス法が広く普及すると思われます。
表1 ラテックス法とELSE法の検査法の比較
3.同一検体による同時測定結果の比較
対象はラテックス法とELSE法で抗体価を同時測定した患者様のうち、両方またはどちらかの測定値が感染陰性とされる10U/mL以下であったか230例です。感染状態の診断は内視鏡による当院の診断順により判定しました。当院の内視鏡診断基準を以下に示します。
表2 当院における内視鏡によるピロリ菌感染状態の診断基準
ラテックス法とELSE法の同時測定抗体価を感染状態別に以下に示します。
a. 未感染
b. 既感染
c. 現感染
d. 抗体価10U/mL未満の全感染状態
4.両測定法による胃がん層別化検査
両検査法による抗体価で「胃がん層別化検査」をした場合の各群の症例数を示します。
表3 両検査法による胃がん層別化結果
ラテックス法は測定時間が早く汎用自動分析装置が使えるため、診療ではピロリ菌感染の有無を診断するためにはそのメリットはとても大きいと思われます。しかし、胃がんリスクの有無が問題となる胃がん層別化検査ではラテックス法よりもEIA法の方が胃がんリスクのない未感染の拾い上げの点で優れいます。
実際の論文はコチラ ⇒ <ラテックス法>.pdf
日本消化器がん検診学会雑誌 Vol.55(6) Nov 1045-1051