高感度測定法による未感染と既感染感の鑑別
1. 実測値を用いた前向き研究(2015年)
2014年の“推定値を用いた後ろ向き研究”でピロリ菌抗体価によるピロリ菌感染状態の推定が可能であることを確信し、2015年高感度測定法による実測値を用いた前向き研究を行いました。
当クリニックで上部内視鏡検査、迅速ウレアーゼ検査およびピロリ菌抗体価を測定した方のピロリ菌感染状態(未感染、既感染)と高感度測定法による抗体価実測値の関係を調べました。前年の後ろ向き研究と同様に、既感染は除菌後既感染と除菌歴のない既感染(偶然の抗生剤によりピロリ菌が死滅した状態)に分類しました。未感染と既感染の抗体価と年齢の関係は以下のようになりました。(図1)
図1 未感染・既感染の抗体価と年齢の関係
2014年の後ろ向き研究を同様にピロリ菌の各感染状態はそれぞれの抗体価が層状に分布しましました。未感染と既感染をもっともよく鑑別するカットオフ値はROC曲線(図2)から1.5 U/mLとなり、そのときの感度93.5%、特異度95.8%、正診率94.5%となりました。高感度測定法による検証でも抗体価によって“胃癌リスクの境界線”である未感染と既感染を鑑別できる可能性があることが明らかになりました。
実際の論文はコチラです ⇒ <2015年論文>.pdf
日本ヘリコバクター学会誌 Vol.18 No.1 30-35